EC集客を外注する費用の相場|見積書6項目で内訳を読み解く
EC集客の外注費用は、委託範囲によって月5万円程度から150万円規模まで幅があります。ただし、同じ「月30万円」でも含まれる業務は依頼先ごとに違うため、相場表の数字だけでは手元に届いた見積もりが妥当かどうかを判断できません。判断の材料になるのは、金額そのものではなく、見積書のどの行に何が含まれているかです。この記事では、委託範囲別・施策別の費用相場、見積書に並ぶ6つの項目の読み方、見積もりを取る前後に確認しておきたいことの3点を整理します。
EC集客の外注費用の相場|委託範囲別・施策別の目安
最初に前提をひとつ。以下の金額は公的統計ではなく、EC運営代行会社やマーケティング支援会社が自社メディアで公開している目安です。同じ区分でも媒体によって数字が違います。
委託範囲でどれくらい変わるか
業務範囲別では、部分委託が月5万〜10万円程度(出典: cast-er.com、tufecompany.co.jp、w2solution.co.jp)。月3万〜10万円とする媒体もあります(出典: commerce-lab.jp)。運営全般の委託は月30万円程度から(出典: cast-er.com、commerce-lab.jp)、集客から物流まで任せるフルアウトソースは月80万〜150万円程度(出典: cast-er.com)、コンサルティングのみは月15万円程度からという目安です(出典: link-ecconsulting.co.jp)。
月商規模別の切り口もあります。小規模EC(月商100万〜300万円)で月10万〜30万円、中規模EC(月商300万〜1,000万円)で月30万〜80万円、大規模EC(月商1,000万円以上)で月80万〜150万円以上(出典: cast-er.com)。同じ資料でも切り口ごとに刻みが違う点は、次の章で扱います。
施策別(広告運用・SEO・SNS・LINE)の外注費用の目安
| 施策 | 目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 広告運用(+広告費実費) | 月5万〜20万円+広告費 | mieru-ca.com、link-ecconsulting.co.jp(月10万〜20万円+広告費) |
| 広告運用(料率型) | 広告費の20%が業界標準として挙げられる。予算規模別では〜20万円で25〜30%、20万〜50万円で20〜25%、50万〜200万円で18〜20%、200万円〜で10〜18% | delight-solutions.co.jp |
| SEOコンサルティング | 月10万〜50万円(大規模サイトは100万円を超えることも) | web-kanji.com |
| コンテンツSEO | 月10万〜50万円、記事単価は数千円〜10万円 | web-kanji.com |
| SNS運用(投稿企画・作成のみ) | 月5万〜10万円 | s–line.co.jp |
| SNS運用(戦略設計・動画制作まで) | 月20万〜30万円 | s–line.co.jp |
| LINE運用代行 | エントリー 月5万〜10万円/スタンダード 月10万〜20万円/プレミアム 月20万〜30万円 | s–line.co.jp |
| 商品撮影・登録(ささげ) | 1点あたり5,000〜10,000円 | w2solution.co.jp、link-ecconsulting.co.jp |
料率は、予算が小さいほど高く設定される傾向が読み取れます。
料金体系は月額固定・成果報酬・複合の3つ
成果報酬型は売上の10〜25%とするメディアと(出典: cast-er.com、commerce-lab.jp)、売上の5〜15%とするメディアがあります(出典: cone-c-slide.com、meetsc.co.jp)。複合型は、月20万円程度からの固定費に売上の5〜10%を加える形が例です(出典: commerce-lab.jp、cone-c-slide.com)。成果報酬型では「売上の定義」が金額を左右します。
相場表では「自社の見積もりが妥当か」は判断できない|費用が決まる3要素
前章の数字には限界があります。同じ資料の中でさえ、料金体系別・業務範囲別・月商規模別で刻みが違う。資料が粗いからではなく、外注費用が単一の要素で決まっていないためです。
EC集客の外注費用は、業務量と委託範囲と責任範囲の掛け算で決まります。月30万円という数字は、その3つが確定して初めて意味を持ちます。相場表は「桁を確かめる道具」にはなりますが、目の前の見積もりの高い安いを判定する道具にはなりません。
実務の側からも同じ指摘があります。EC運営代行の失敗要因を扱った記事では、「月額費用だけを見ると安く見えても、運用負荷まで含めると高くつくことがあります」「代行会社と自社でどの数字を重視するかがそろっていないと、月次報告を受けても会話がかみ合いにくくなります」と述べられています(出典: mama-sun.com)。
見るべきは相場表ではなく、届いた見積書の中身です。次の章で、その行を1つずつ開いていきます。
EC集客の見積書に並ぶ6つの項目|1行ずつの読み方
EC集客の見積書は、様式が違っても載る項目はおおむね共通しています。初期費用、月額運用費、広告費実費、手数料(料率)、レポート・ディレクション費、ツール利用料の6つです。手元の見積書と並べて読んでください。
①初期費用|何に対する費用かを確認する
初期費用の目安は10万〜30万円とされます(出典: link-ecconsulting.co.jp、cone-c-slide.com)。現状分析やアカウント設計、計測タグ設置など、初月に集中する準備工程への対価です。
確認したいポイント。「初期費用一式」とだけ書かれていたら、含まれる作業を一覧で出してもらってください。成果物(アカウント設計書や計測設定)が自社に残るか、短期で契約が終わったときの扱いはどうかも聞いてください。
②月額運用費|「何時間・何本」が含まれるか
月額固定費は、稼働量とセットで初めて意味を持ちます。時間単価の例では、広告運用・掲載が1時間2,000円から、Webコンサルタントが1時間5,000円から(出典: クラウドワークス)、ECサイト運営代行が1時間1,500〜3,000円とされています(出典: ランサーズ)。
確認したいポイント。月何時間か、投稿は何本か、レポートは何回か。この3つがない見積書は比較の土俵に乗りません。範囲外の作業が出たときの追加料金の計算方法も、契約前に文面で確かめてください。
③広告費実費|運用費と分けて書かれているか
広告費はGoogleやMetaなどの媒体に支払う実費で、運用の対価とは性質が違います。1行にまとまっていると、支払総額のうち媒体に流れる分が見えません。
確認したいポイント。広告費が誰の名義で、誰のカードから支払われるか。媒体の管理画面を発注側が見られるか。金額欄には現れませんが、数字を自分で検算できるかを分ける2点です。
④手数料(料率型)と最低手数料の条項
料率型では広告費の20%が業界標準として挙げられますが、前掲のとおり予算規模で料率は動きます(出典: delight-solutions.co.jp)。見落とされやすいのは、料率と一緒に置かれる最低手数料(下限額)の条項です。
確認したいポイント。下限額は金額欄ではなく、脚注や備考欄、契約書の別紙にあります。「広告費の20%(ただし月額◯万円を下回らない)」という一文がないかを探し、広告費を絞った月の請求額も試算してもらってください。
⑤レポート・ディレクション費|誰の作業時間か
分析やレポート作成を独立項目とし、月3万〜10万円程度で示す例があります(出典: s–line.co.jp)。施策の実施ではなく、結果を説明する作業への対価です。
確認したいポイント。数値の羅列までか、次月の打ち手の提案まで含むのか。粒度と頻度で作業時間は変わります。定例ミーティングが月額に含まれるか、回数超過で別料金になるかも確認してください。
⑥ツール利用料・オプション|月額に積み上がる小さな行
代行費用とは別にツールの月額がかかる施策もあります。LINE運用では配信ツールが無料から数万円台まで幅があり、配信1本ごとの制作費も積み上がります。テキストのみで5,000〜10,000円、リッチメッセージで10,000〜20,000円という目安です(出典: s–line.co.jp)。
確認したいポイント。ツールの契約名義がどちらになるか。代行側の名義だと、解約時に配信データや顧客リストが残らないことがあります。従量課金の項目は、月間の上限本数を決めておくと請求額が読めます。
契約期間と解約条件は、見積書の欄外にある
最低契約期間の目安は、大手総合代理店で6〜12ヶ月、中小・専業代理店で3〜6ヶ月、フリーランスで1〜3ヶ月とされます(出典: delight-solutions.co.jp)。月額が同じでも、6ヶ月契約と3ヶ月契約では総額が倍違います。見積書の金額は、契約期間を掛けて初めて実際の支出になります。
同じ業務でも見積書の構成要素は変わる|組織に頼む場合と、個人に直接頼む場合
代行会社の費用には、担当者の人件費に加えて、営業・進行管理・品質チェック・バックオフィスといった社内体制の運営コストと、事業として必要な利益が含まれます。これは業態として当然の対価です。その対価と引き換えに、担当者が交代しても止まらない体制、複数職種をまとめて任せられる窓口、契約上の責任範囲といったものが提供されています。
そのうえで、同じ業務を個人へ直接依頼すると、構成要素が変わります。窓口と実作業者が同じ人のため、分業に伴う管理コストの行が生じにくい一方、体制の冗長性は含まれません。担当者が倒れれば進行は止まります。どちらが優れているという話ではなく、費用に何が含まれているかが違います。
単価感の材料として、代理店タイプ別の比較があります。大手総合代理店は月額手数料30万〜100万円以上で最低広告費が月50万〜100万円、中小・専業代理店は月額手数料10万〜30万円で最低広告費が月20万〜50万円、フリーランスは月額手数料5万〜20万円で最低広告費が制限なし〜10万円という整理です(出典: delight-solutions.co.jp)。最低広告費の欄は、少額から試したい事業者にとって入口条件になります。
委託単価の参考データもあります。Web広告運用フリーランスの月単価は50万〜70万円程度(出典: ITプロパートナーズ)、フリーランスマーケターの月額単価は週5フルタイム稼働で50万〜60万円程度(2025年7月時点)という集計です(出典: レバテック)。ただし、いずれも民間の人材サービスが自社の取扱案件を集計した数値であり、市場相場そのものではありません。週5フルタイム稼働が前提のため、EC集客の一部を切り出す部分委託とは条件が違います。
どちらに頼むかを決めるのは発注する側です。発注先の探し方や選定の進め方、依頼から契約までの流れは、ECサイトの集客をフリーランスに直接外注する方法 で詳しく整理しています。
EC集客を外注する前に、社内で決めておきたい6つのこと
依頼内容が固まっていなければ、各社の提案はばらばらの前提で返ってきます。EC運営代行の記事では、依頼前に整理すべき項目として次の6点が挙げられています(出典: mama-sun.com)。EC集客の文脈に置き換えます。
- 改善したい課題:新規流入を増やしたいのか、リピート率を上げたいのか。施策も費用もここで分岐します。
- 委託範囲:広告運用だけか、SEO・SNS・LINEまで含むか。撮影や商品登録を入れるかも決めておきます。
- 社内で判断する業務の切り分け:広告予算の決定、値引きやセールの可否など、社外に渡さない判断を先に線引きします。
- 確認するKPI:ROAS、CPA、セッション数、リピート率のうち、どの数字で成果を見るか。
- 窓口担当者:社内の誰が受け答えするか。担当が不在の日の代理も決めておきます。
- 報告頻度:週次か月次か。定例ミーティングを設けるかどうか。
外部に任せる場合でも、「何を依頼するか」「何を成果とするか」「提案を受け入れるべきか」を自社で判断できる状態は必要だという指摘もあります(出典: ネットショップ担当者フォーラム)。この6項目が決まれば、複数の見積もりを同じ土俵で並べられます。
届いた見積もりで確認したい5つの質問
以下は、相手が会社でも個人でも同じように使える質問です。そのまま送って構いません。
- 「この月額に含まれる作業は、月あたりどれくらいの量ですか。時間、投稿本数、レポート回数の目安を教えてください。」
- 「範囲外の作業が発生した場合、追加費用はどのように計算されますか。時間単価か、都度見積もりかも含めて教えてください。」
- 「成果報酬の算出根拠になる数字は、どのデータをどう見て確定しますか。売上には返品・キャンセル分が含まれますか。」
- 「広告費が増減した月、手数料はどう変わりますか。下限額の設定はありますか。」
- 「契約を終了する場合、広告アカウント、ツール、制作物、蓄積したデータは誰の手元に残りますか。」
3番目は成果報酬型を検討する場合に効きます。売上の定義が「受注ベース」なのか「返品控除後」なのかで、同じ料率でも支払額は変わります。
5番目は、金額欄に現れないのに乗り換えコストを大きく左右します。広告アカウントが代行側の名義だと、契約終了時に運用データを引き継げず、次の依頼先はゼロから学習をやり直します。LINEの配信ツールやMAツールも同様で、契約名義によっては友だちリストや配信履歴が残りません。制作物の著作権の扱いも、あわせて文面で確認してください。
質問の目的は相手を疑うことではなく、前提をそろえることです。前提が明文化されていれば、社内の稟議も通しやすくなります。
EC集客の外注費用を抑えたいときの現実的な選択肢
現実的な打ち手は2つあります。1つは委託範囲を絞ること。社内で回せる業務と外に出す業務を分ければ、部分委託の目安である月5万〜10万円程度に収まる可能性が出てきます(出典: cast-er.com)。商品登録や受注対応は社内、広告運用だけ外部という切り分けです。
もう1つは、領域ごとに個人へ直接依頼することです。X上でも、EC事業者が広告運用・デザイン・ディレクションといった職種ごとに個別で業務委託を募集する動きが見られます。一括発注ではないぶん、必要な領域だけに費用を配分できます。
ただし運用上の負担もあります。窓口が複数になるため、施策間の整合を取る進行管理は社内の仕事になります。前章の6項目が決まらないまま分散発注すると、各担当が別々のKPIを追いかけて成果が積み上がりません。人数が少ない体制ほど、範囲の線引きを先に固める必要があります。
EC領域では、構築と集客を通して担当できる個人と、構築やコーディングに特化した個人の両方がいます。たとえばタッチポイントWebの #ECサイト運営 に掲載されている方の中には、Shopifyの構築とLINEを使った販売施策を一人で通して担当している方もいます。個人への依頼は個別見積もりになるため、前章の5つの質問がそのまま使えます。
まとめ|金額ではなく「何が含まれているか」で比べる
- 相場は幅で見る:委託範囲によって月5万円程度から150万円規模まで開くため、金額だけを並べた比較は成立しません。
- 見積書は行で読む:初期費用、月額運用費、広告費実費、手数料と下限条項、レポート費、ツール・オプションの6項目と欄外の契約期間で、金額の中身が読めます。
- 依頼先で構成要素が変わる:会社に頼めば体制と責任範囲の対価が含まれ、個人に直接頼めば管理コストの行が生じにくい代わりに冗長性は含まれません。適否は委託範囲と社内の体制次第です。
高いか安いかを決める前に、その金額が何と引き換えなのかを1行ずつ確かめてください。前提がそろえば、複数の見積もりはようやく比較できます。
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この記事はタッチポイントWeb編集部が執筆しました。
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